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羅門しか知らない霊の恐怖
連載第四話

前回のお話の続きです

血相を変えて私のところへ飛び込んできたAさんは
「先生、助けてください。お願いします。大変なことが起きたんです」
その話は、次のようなことでした。
昨日の夜11時半頃、私は主人が帰ってくるのを待ちながら、夜食の支度をして待っているときに、子供の部屋の戸が突然ガラッと開いたのです。私が気づいて見に行くと、まさに長男がパジャマ姿のまま、玄関の戸を開けているところでした。玄関の引き戸が、妙に引っかかりながらガラガラと開いて、長男は表へ出て行ったのです。
「どこへ行くの? 何をしているの?」と私は大きな声で長男に呼びかけましたが、あっという間でした。家の前の道へ長男が飛び出したのです。私は長男を引き留めるために玄関を飛び出したのですが、それと同時に凄い音がしました。本当に凄い車の音がしたのです。私が見たときには、既に長男は車の後輪に片足が絡まって倒れており、血だらけでした。私は長男の名前を叫びながら、必死にかがんで、地べたに這いつくばって長男を引きずり出しました。そして、長男に何回も声を掛けましたが、返事はしません。血だるまでした。
近所の人が救急車を呼んでくれて、まもなく長男は病院に運ばれていったのですが、その車の運転席の横で、茫然と力無く立ち尽くしていたのは、私の主人でした。主人はワナワナと震えて、顔から血の気が引き、救急車が来ても何が来ても、自分の息子をこんな形で轢いてしまったショックで、動くこともできなかったのです。長男は病院へ運ばれましたが、この2、3日が大事な時間だとお医者様に言われました。


「先生、助けてください。うちの子を助けてください。お願いします」
と、Aさんは悲痛な表情で私に訴えました。
私はお話を聞いて絶句してしまいました。私は1ヶ月ほど前に初めてAさんとお会いしたとき、長男の行動には十分気をつけるようにお話をしましたが、そのようなことが必ず起こるとまではいかなくても、起きる可能性が非常に高い、何か嫌なことが起きると感じていたのです。そういった現象こそが「霊の障り」なのです。
この世に生まれることができなかった、Aさんの男の子の霊は、一体何をしたかったのでしょうか。やはり、自分の存在を教えたかったのでしょうか。

とにもかくにも、私は長男のために必死で祈りました。この世に生まれてくることができなかった男の子の霊に対して「勘弁してやってください、これで勘弁してやってください。どうか命は助けてやってください。あの子には何の責任もないのですから」という「詫び行」をいたしました。
そして1週間後にやっとAさんから連絡があり、片足の筋肉などが半分以上なくなってしまったものの、命だけは助かりそうだとのことでした。

それからしばらくは何事もなかったのですが、一年ほど過ぎた頃でしょうか、三たびAさんが私を訪ねて来たのです。私はAさんに「しばらくですね、ご長男は元気ですか」と挨拶をしました。
心なしか、やつれたように見えるAさんは、私に言いました。

先生、その節は本当にありがとうございました。あれからちょうど一年が経ちます。長男は命からがらですが、生きております。ただ、松葉杖がなければ歩けません。それでも長男の命が助かって良かったと思っています。本当に先生のおかげです。ありがとうございました。
ああそれから、先生にお話ししておかなければならないことが1つあるんです。
半年ぐらい前に、主人が一通の手紙を置いて家を出て行きました。その手紙には「すべて自分が悪かったんだ」と書いてありました。必死に探しましたが、どこへ行ったのか、どこでどうしているのかわかりません。いまだに行方不明です。ただ、主人の机の中に、富士五湖の樹海の地図がありました。その樹海の地図が決め手だと私は思っております。でも、そこへ主人を探しに行く元気はもうありません。そこへ探しに行ってしまったら、私も二度と帰れなくなる気がするのです。そして、そんな勇気も気持ちも、もうありません。


そこでAさんとの話は終わりました。

とても怖い話ですが、人間は、自分自身がしたことに対して、償わなければならない時があるのです。そういう現象がいつ来るのか、それは誰にもわかりません。その人によるでしょう。ただ私は、そういった霊現象は必ずあるということだけは、お教えしておきます。これは皆さんを私が脅かしているわけではありません。脅かす理由もありません。ただ、霊というものは、生きていても死んでいても、霊は「魂」そのものなのです。どうか理解してください。その霊の気持ちになって考えてみてください。

次回また、夜にお会いしましょう。